
小児皮膚科
小児皮膚科
小児期にアトピー性皮膚炎と診断された約半数が成人期まで持続します。
乳児期は、頭部中心に皮疹がみられ、児童期にかけては肘や膝に目立ちます。
アトピー素因は、家族歴・既往歴でアレルギー性疾患(気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎)の有無や、IgE抗体を産生しやすい素因を反映した、血清総IgE値やアレルゲン特異的IgE抗体価の上昇で確認します。
診断は①痒み、②特徴的皮疹と分布、③慢性、反復性経過の3つの基本項目を満たすものとされています。ただし、乳児期は他の湿疹との区別がつかないことも多く、2か月以上の観察を行い評価します。
治療は基本的に成人と同じです。まずはステロイド外用剤、タクロリムス軟膏、デルゴシチニブ(コレクチム®)軟膏、ジファミラスト(モイゼルト®)軟膏などで皮膚の炎症と痒みを速やかに抑えます。同時に保湿外用薬によるスキンケアも行います。外用治療を適正に行っても寛解に導入でいないような中等症以上のアトピー性皮膚炎には全身療法を行います。
デュピクセント®は生後6ヵ月以上で、オルミエント®は2歳以上で、リンヴォック®は12歳以上で、サイバインコ®は12歳以上で、ミチーガ®は13歳以上で、イブグリース®は12歳以上で投与可能です。
とびひは、小児や幼児を中心に夏季に好発します。
とびひの大多数は、黄色ブドウ球菌による水疱性膿痂疹で、原因菌は黄色ブドウ球菌です。アトピー性皮膚炎があると併発しやすいです。もう一方は痂疲性膿痂疹で、原因菌はA群β溶血性連鎖球菌になります。
治療は、基本的に抗菌薬の内服を行います。黄色ブドウ球菌による水疱性膿痂疹の場合は、第一世代の経口セフェム系薬を5日程度内服します。水疱やびらんが残っているようであれば、もう2~3日内服を追加します。連鎖球菌による痂疲性膿痂疹の場合は、ペニシリン系を用います。
病変が広範囲でなく、患部が覆われている場合は、登校や登園は禁止しなくても大丈夫です。また、プールの水自体ではうつりませんが、プールの水に触れることで病変が悪化したり、またタオル・ビート板などを介した直接接触によって他人にうつす恐れがあるので、プールや水泳は治るまで禁止します。
伝染性軟属腫ウイルスによるウイルス性皮膚感染症です。感染経路は、自家感作、皮膚-皮膚間接触、日用品(おもちゃ、タオルなど)を介した接触です。アトピー性皮膚炎や乾燥肌などがあると水いぼができやすいです。
プールの水では感染しないので、プールにはいっても構いません。
水いぼ箇所を衣服、包帯、耐水性絆創膏などで覆い、他の子どもへの感染を防ぎます。また、日常的に手洗いを行うなどの一般的な予防も必要です。
治療はトラコーマ鑷子を使って摘除します。
生後2~4週頃から皮脂分泌が活発になり、マラセチア菌が増加するため、頭や顔の脂漏部位に生じます。数か月で自然軽快します。
治療はスキンケア(清拭、保湿)を中心とした治療を行います。
おむつ着用部位に生じる接触皮膚炎で、尿や便に含まれるアンモニアや酵素などによる刺激、清拭による摩擦行為により生じます
治療は炎症に応じた外用薬、内服薬を選択します。ただし、乳幼児期の皮膚は薄く付属器も未熟なため、ステロイド外用薬は皮膚炎の程度に応じてweek~mediumクラスを用います。